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第9章 インターネットで業者を探す
レフコの倒産が投げかけたもの
最初に出したお金以上に損失が膨らむというネガティブイメージもあって、商品先物や先物取引に一般の人が普通に参加するようになるまでには壁があった。米国は穀物をはじめ農産物の一大生産地であったため、江戸時代に日本の米の先物取引が盛んであったように、商品先物はリスクをヘッジする手段として発展を遂げてきた。しかしさらに金融商品として債券や株式などの先物取引が、金融市場関係者にとっても重要な取引に発展するなかで、同じ手法を持つ商品先物会社が、積極的に金融市場の先物取引に進出してくるようになる。
破綻したレフコも、商品先物だけでなく金融分野の先物取引を扱うことで大成功を収め、40億ドル(約5000億円)の資産規模を持ち、顧客数は20万口座を数え、シカゴ市場で最大のブローカーとなった。そしてついには2005年8月に、NY証券取引所に新規株式公開を果たした。このIPOには、ゴールドマンサックス、バンク・オブ・アメリカ、クレディ・スイスなど大手の投資銀行も数多く関わっていた。しかし上場2ヵ月後に不正会計が発覚し、1週間で上場廃止となってしまった。その後すぐに破産法適用を免れた部分に対して買収提案があったが、結局同じくイギリス系の大手先物取引会社で、ヘッジファンドでも有名なマンファイナンシャルにレフコは買い取られ、引き継がれた先物取引部門の営業は細々と継続している。
日本でもレフコのひとつの部門であるFX取引でレフコに関わっていた顧客が多かったようだ。レフコという同じ名前の会社でも、どのような契約になっていたかでどの程度破綻の影響を受けたかは違ってくるようだ。どちらにしても、事件発覚前に口座を開くことを考えた場合、このような輝かしい経歴からして、外国人に限らず、危険な会社と判断する人は少ないだろう。ブランドというものは表面的な華やかさがあるだけに、それに判断を頼りすぎるのもよくないということだ。また大きな銀行の子会社というような場合には、安心ではあっても一般の個人向けにサービスを行なっていないという側面もある。結局はブランド会社の規模に頼ることが大切なのではなく、無名であっても業者との信頼関係が築けるかどうかが重要である。少しづつ取引していく中で、判断できる材料があるはずなのだ。火のないところに煙は立たず。
そもそもたとえ安心できても、全財産をひとつの会社にすべて集中させるというようなこと自体もリスクである。日本では破綻などが起こるとその危険性や被害のことだけが強調されがちであり、「あつものに懲りてなますを吹く」ことがよくあるが、そもそもブランドだけで「あつくない」と信じ込むのはよくない。一線を越える勇気がある方々には、細心の注意と謙虚な気持ちが必要である。