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第11章 申し込みをする

サインしなければならないこと

 ブローカーを業務として営んでいる業者にとっては、得体の知れない顧客に口座を開かせるわけにはいかない。しっかりしている会社であればあるほど、なおさらの事だ。「お金」の取引に関しては洋の東西を問わずに、強引な勧誘がおこなわれたり、言った言わないのトラブルになりやすい。そこで業者側は自分たちは、どこの法律の基づいているのかを明らかにする必要がある。またマネーロンダリングなどの資金を扱うことも彼らにとってのリスクとなるので、注意を払っているのが常識だ。

 そのため事前に取り交わしておく契約が、「基本契約書」という形で1冊の本のようになっている。基本契約書(Master Trading Agreement)には、中で使われているテクニカルタームの解説に始まり、基本的なことが述べられている。ステートメントの発行や取引手数料の徴収の方法についてである。トラブルが起こった際の従うべき法律(Governing Law)や管轄される裁判所などが規定される。注意をしたいのは、業者を通じて取引を行った際に生じるであろうトラブルに関する免責事項などが列挙されていること。PCやインターネットなどの接続状態によっても、取引注文が入らないなどで無用な損失が出てしまうこともありうるが、そのことについて会社側の責任範囲がどこまであるかなどについて述べてある。基本契約書の中身を大まかに分けると、以下のような項目についてそれぞれ同意を求められることになる。

  1. リスク開示の説明(Risk Disclosure Statement)
    日本でいうところの「重要事項説明書」に相当する。リスクについては、レバレッジが高いものも扱っているため、想定外の損失が出る可能性もあることを十分に理解しているかどうかを確認するためのもの。取引所のルールに従うべきことや、マージンコールについての定義なども書かれている。
  2. 補償の約束(Letter of Indemnity)
    取引もしくは取引するために必要な事項の伝達不備などによって生じてしまった損失、その他不可抗力の事態によって起こった不利益および出費などの発生に対して、その支払いを補償し、異議申し立てなどをおこなわないと念書の形で求められるもの。
  3. 電子媒体の承認(Electric entry and access Agreement)
    取引やステートメントの授受をすべて、電磁的手法による方法で行うことを承認するもの。毎日、紙に書いたステートメントを郵便で送らずに、電子メールを通じて確認することにし、書面での発行はしないことについて説明してある。また取引状況などについても、業者から提供されているプラットフォーム上での確認が原則となる。
  4. 同意の宣言(Declaration and Agreement)
    提出したすべての書類に虚偽がないことを最終的に承認するためのもの。

 きちんと細かい項目までも読むことが望ましいが、大まかに言っている内容を理解するだけで十分ともいえる。少なくとも太字のヘッドラインを理解してあとは常識的な範囲で考えればよいだろう。すべてを読む必要がないとまでは言えないが、いちいち全部を読み込むのは大変な労力を要する。サインをしないと口座を開けないのも事実なので、ある程度は斜め読みでも構わないようにも思える。どこまで細かいことまで目を通してサインするかは個人の判断であるが、すでに顧客となっている友人などからの紹介であれば特に気を使わないでもよいのかもしれない。心配であれば、IBを介して口座開設を行なうのもよい方法だろう。