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第1章 外国為替取引の仕組み
外貨預金との違い
「ある通貨の値段と値段の間を取る」ことでお金を残していくことが、外国為替で儲けるということだということはすでにおわかり頂けたと思います。それでは次ぎに身近な外貨預金という方法で「ある通貨の値段と値段の間を取る」という投資スタイルとの違いをお話します。外貨預金とは全く性質の違うものです。間違っても「外貨預金のようなものです」というようにセールスを受けたとしたら、そのようなブローカーを信用してはいけません。
外貨預金とのまず大きな違いは、レバレッジがあるかないかということになります。1−2でお話したように、外国為替証拠金取引はあくまでも差し出すお金には、保証金としての意味しかありません。ですからそのお金でドルを買うわけではないのです。
これに対して外貨預金は出した金額に見合うだけのドルをそのまま時価のレートで交換し、預金ですから銀行の預金口座にドルが入っているという状態となります。ドルの現金を持っているのですから、当然1円円安に動けばこの1円分だけドルの価値が高まることになるわけです。
例えば1ドル105円の時に10万円をドルで預けたら、大体952ドルになります。1円円安になったとすれば、952ドル×1円=952円が利益になるはずです。サービスのいい銀行も多く出てきたので、もっと交換レートがいいところなどもありますが、銀行の交換レートというのは、最終顧客、特に小口向けの銀行の売り(=TTS)と銀行の買い(=TTB)は1円から3円は離れているものなので、1円動いてもそれを円に戻すために交換するだけで、損になってしまいます。
しかし外貨預金の基本は、あくまでも「預金」です。あくまでも外貨の利息が中心で、たまたまそれに為替の変動分のプラスアルファがあるかもしれないというおまけがついていると考えた方が無難でしょう。つまり本来はインカムゲインが主体の商品です。
また外貨預金は、自分がある銀行にある通貨を持っているとしても、それをその国でそのまま使うことができないという点についても注意が必要です。感覚的には自分は預金でドルの現金を持っているのと変わらないわけですから、海外に提携ATMがあればそのまま引出して使えるような気がしますが、実際に普通金融機関で売られている外貨預金で、それはできません。海外に口座を開くことと日本の中の銀行に外貨で預金をすることでは全く意味が違うのです。ですから為替差損を被っているからといって、それをその国で使えばいいというほど単純な話ではありません。
また今日本では超低金利が続いているため、海外の高い金利をうたったものが数多く外貨預金として売られていますが、高金利レートに惹かれて外貨預金をしてもその後の為替差損分で金利分が飛んでしまうということよくあることなので、注意した方がいいでしょう。
外国為替証拠金取引においても、その通貨が高金利な通貨であればそれを売買の際に「買い」で持っていたとしたら、その高い金利がもらえます。今ですとオーストラリアなどが高金利通貨の代表例ですが、あなたがオーストラリアドルと円でオーストラリアドルを買うというポジションを持っていたとしたら、円とオーストラリアドルの金利差分があるので、高いオーストラリアドルの金利を、その通貨を買って保有している期間分だけもらえます。しかし当然この逆もあるわけで、オーストラリアドルを売って持っているとしたら、その保有期間分の金利を支払わなければなりません。
この金利がもらえるという部分だけに着目してセールストークをするような業者は避けるべきですし、とにかく抑えて頂きたいことは、外貨預金という商品は外国為替証拠金取引とは根本的に性質の違うものです。
間違っても「外貨預金のようなものです」というようなセールストークをする業者については良い業者ではないのではないのかもしれないと疑ってみる必要がありますし、外貨預金だと思って始めるなどということは絶対に止めましょう。外貨預金は目減りすることはあってもゼロにはなりませんが、外国為替証拠金取引は投資金額がゼロになることもあり、特別な場合によってはマイナスになることすらありえます。外国為替証拠金取引は金融デリバティブのひとつですので、それなりの基礎知識と心構えを持って始めましょう。素人の生兵法ではいけません。