HOME > 外国為替について > 第1章 外国為替取引の仕組み > 商品先物取引との違い

第1章 外国為替取引の仕組み

商品先物取引との違い

レバレッジという点で比べると株式の信用取引はあまり外国為替証拠金取引に比べると魅力的ではありませんが、商品先物取引は大体商品の総代金に対して10%程度の証拠金で商いが行えるので充分レバレッジがあります。商品先物取引は上場している商品を証拠金を担保に先日付の価格で取引し、その期日がくれば現物で代金と引き換えに決済するのですが、通常はその前に反対売買をして差金決済をするということになります。 当然売りからでも買いからでもどちらからも入れますし、反対売買した時点での幅の部分が損益になりますので、考え方は外国為替証拠金取引と一緒です。

しかし投資対象が商品であるため、商品特有の動きがあります。たとえば冷夏になるという予報が出て実際に冷夏であった場合、穀物の価格は上が続けます。一方方向へずっと動くという特性がありますが、いつその方向へ動き出すか予測することは株式以上に難しい面があります。気候など予測が難しいものによって動くという点と、実際の実需によって動くという面が強いため、純粋な経済指標だけで判断するのが難しいのです。

また追証という制度が株式の信用取引を同じようにありますが、一方方向へ動くという特徴からすると株式の信用取引以上にすぐに追証が発生するという危険性があります。金を例に取りましょう。

1枚6万円前後で商いできますが、実際にはその1000倍の額の取引をしているという計算になります。買い値段が1200円で、それを1250円で差金決済した場合は。  
(1250円−1200円)×1000倍= 5万円の益

逆に1150円で差金決済すれば、5万円の損になります。6万円で5万円の損益が出せるという点では少ない資金で大きなチャンスがあると言えますが、外国為替証拠金取引のように自動決済というシステムがないため、多大に損失が膨らんでしまう可能性があり、またある期間一方方向に動きやすいという動きの特性からすると、市場と反対に持ってしまった場合は逃げるチャンスも少ないというリスクも加わります。

また商品先物取引は取引所に上場している商品を扱うわけですが、日本の商品先物取引は海外の商品先物取引と違う、ブローカーが自分で顧客の売買を受けることができるようになっています。したがって実際には、取引所で取引されている商い量が極端に少ないのが特徴です。価格はより大きな市場でみなが参加して決める方が、公正な価格になるという点についてはすでにご説明した通りですが、ブローカーが自分で受けるということは顧客とブローカーの利害が反対になっているので、悪いブローカーであれば、これを利用して自分の利益を出すために顧客に損をさせことは簡単です。

例えば円建金を1枚買ったとします。しかし取引所での商いはほとんどないわけですから、実際にはブローカーがその値段で売りを受けるわけですが、市場の値段は1450円−1500円のように売り買いの値幅が広くなっていて、業者は顧客の買い注文に対しては1500円で売り向かいます。そこで商社など他の参加者が1480円−1485円と入れたところでカバーします。実際にそういう悪徳な業者もいたことから、一般的に商品先物取引には少し悪いイメージがついているのも事実でしょう。

また商品先物取引の中心地はあくまでもシカゴです。日本時間にはそもそも価格形成力がないのでその点についても注意が必要でしょう。