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第4章 ドル円相場のシュミレーション

値動きと実践問題 Aテクニカルで動く編

テクニカルで動くというのは、いわゆるチャートなどにしたがって動くことを言います。チャートが当てになる、ならないというのは昔から大いに論議のあるところです。テクニカルを信用しない人は実際の実験結果などを盾に非科学性を主張し、テクニカルを信奉する人は半値戻しや抵抗ラインを気にして相場を行います。 江戸時代の米相場で財を成したと云われる酒田五法に見られるローソク足分析にはじまり、新しいタイプのチャートなど、テクニカル研究は今も盛んに行われています。しかしテクニカルの長所でもあり急所でもありうるのは、一切の市場の材料を無視するということです。

テクニカルというのは、歴史と統計なのでそこから何をどう読むかは、確かに四柱推命など統計と確率から割り出した占いと似ているところがあり、「当たるも八卦、あたらぬも八卦」というようにも思えます。

しかしながらそれを信奉して相場を行う人がマーケットに少なからずいるのであれば、相場は人々の心理の集合体でもあるので、相場が逆にそのような値動きを形成する要因にもなりますし、非科学的と考えて無視することもありません。逆に目安として利用するには便利なことも多い場合もあります。

特にテクニカル分析で重要なことは、相場のトレンドと反転ポイントを示唆してくれることにあります。

値動き1 )

(問題1)このようなチャートを見た場合、あなたはどう入りますか?

(問題2)この相場に入るにあたって、チャート分析のゆえに参加できることと、関係なくても参加できることの真髄を述べよ。

(筆者の解答)
確かにこういう場合には、下限Aから下限Bまでの間のレンジ相場だと考えて、当面は逆バリ戦法を取ることになります。そのときはAからBまでの間にいるうちだけのものと想定してのことなので、AかBの外側へ相場がはみ出した場合は即座にポジションをクローズし(損切り)、もし余力と勇気があるのであれば、抜けたところからポジションをひっくり返して攻めるのが順当なところでしょう。Bより下にいるときには、Bに限りなく近いところでショートにし、Bを上抜けしてきたらそこで2倍買ってロングにしなおすわけです。当たり前のことを言っているようですが、実は相場と名のつくものの90%はこのようなレンジ内トレードで形成されており、新規の材料などが出てどちらかにブレークしたときにのみレンジが新しいところへ遷移し、そこで再びレンジトレードを始めます。要はそのレンジの移り変わりの節目をどこに見るか、という点につきます。いろいろなチャートの本がでていますので、様々なテクニカルラインを研究してみるのが良いでしょう。

相場と言うものは「美人投票」であるとよく言われます。存外、多くの人がチャートなどを参考にしており、またそれに従順に注文を置いたりするものです。また、参加者の多い、注文量の多い外国為替市場のような場合は、よりテクニカルな動きに終始することがまれではありません。盲目的に信じることはなくても、相場にさんざん振らされた後で自分の位置を見失ったときなど、相場を見直すために有効活用したいものです。

ただ注意すべき点があります。テクニカルを語る人の多くが気づいていないのが論理的なレトリック。「Bを抜けてくれば、もっと上に上がる」などともっともらしく語られますが、これは論理的に当然のことを言っているわけで、「抜けなければ下にいる」か「抜ければ上にいる」というどちらに転んでも言い逃れのできる論法です。この言い方は実は何も語っていないのと同じで、これからポジションを取って相場に入ろうとしている人にとっては何の意味も持ちません。なぜなら、今の時点で「Bを越えられるかどうか」を問題にしているからです。