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第4章 ドル円相場のシュミレーション

値動きと実践問題 Bポジションで動く編

ポジションで動くというは、いわゆる需給で動く場合などで、需給相場ともいいます。代表例として中央銀行の介入などがありますが、当局の市場介入の場合、相当な資金量を持って行われますので、相場を大きく動かすことがあります。

2003年から2004年にかけて行われた政府・に日銀による為替市場は巨額にのぼり、年度毎に使える予算をオーバーしたことがあります。いままでの日本政府が為替介入で使った円価総額は、単年度の一般会計予算の規模をはるかに上回っておりますが、それでも一日あたりに為替市場で取引されるグロスの量からすればはるかに及びません。

しかしながらそれを信奉して相場を行う人がマーケットに少なからずいるのであれば、相場は人々の心理の集合体でもあるので、相場が逆にそのような値動きを形成する要因にもなりますし、非科学的と考えて無視することもありません。逆に目安として利用するには便利なことも多い場合もあります。

需給によって相場を動かすことの限界を感じさせます。

(問題1)
しかし実際に足元ではアメリカの貿易赤字の拡大が大幅に見込まれるため、トレンドとしてはドル売りです。あなたはどう入りますか?

(筆者の解答)
「需給のワナ」にはまってはいけません。需給を重視するひとに多く見られるのが、買えば必ず相場は上がり、売ればかならず下がると思い込んでしまうことです。当局による市場介入は資金量が豊富であり、かつ、最大限その効果が見込まれる時間帯と相場水準に合わせて行われることが多いのですが、いかんせん、相場のトレンドに逆らうことをやるのが市場介入です。「介入のおかげで大もうけできた」などとよく耳にしますが、あまり感心できません。

トレンドというものは短期・長期を問わずに市場の参加者全員の総意に基づいて決定される事後的なものであり、以降も同じ局面では同じ戦術で望めるのに対し、短期の需給は目前で大きく相場を振り動かずので怖い存在には違いありませんが、次に儲けるための普遍的手段を与えてくれません。「大口顧客の***ファンドが売ったから下がったのだ」ということはよく聞かされますが、その人が売り込まなくてもいずれ誰か別の人が売りにくるわけで、だれがどうしたということは、あまり意味のないものだと考えたほうがよいでしょう。むしろ、じっと値段の動きだけを見つめたほうが邪念が入らなくて良いと思います。

では実際の大口の玉が出てきて、例で言う市場介入などが見られたときはどうするか。一緒にドルを買ったところで儲かるという保証はない以上、基準は損切りができるかどうかにかかってきます。当局による介入のような、なかばアナウンスメント効果も狙った色気のあるフローの場合は、局地戦では長続きせず、波状攻撃の形となります。それゆえ、値動きも激しくなり、買ってみたところで損切りしようにもはるかに離れたところまでなにもできなくなる可能性もあります。

損きりが予定通りに行えない以上、予算と収益の見通しが立たないわけで、たとえプロでも喜んで参入するべき場所ではないのです。