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第6章 世界の先物取引

ミニ・サイズ

 ネット取引が出来る前までは、当然のごとく取引は人間の手を介して行なわれていた。これをピット・トレードという。これに対して人間の手を介さずにネット上から直接に取引をする形態をエレクトリック・トレードという。

 従来、エレクトリック・トレードは夜間など、ピット・トレードの補完的役割のために出現したという経緯がある。補完なので当初は出来高も少なく、価格決定力はピットのほうが圧倒的に勝っていた。しかし2000年以降、CMEが力を入れたおかげもあって、いまやエレクトリック全盛の時代である。ピット・トレードでの出来高は減少の一途をたどり、最近では人間不要論まで飛び出してくる始末。ピットは徐々に停止に追い込まれていて、現在では一部の農産品の取引で残っているだけとなっている。

 そうした歴史的な背景もあるので、ピットで扱う先物とネットで取引できる先物は若干、違う。具体的に言うと、エレクトリック・トレードのほうがミニ・サイズになっているのだ。ミニの反対でレギュラーサイズのほうはピットで取引されていたが、今となっては価格決定力がないので、ミニ取引のほうが通常の先物となってしまった。

 エレクトリック・トレードとミニの登場で、今まで限られていた金融機関の専門家だけでなく、個人も手軽に参加できるようになり、投資家の裾野が大幅に拡がった。 この本ではエレクトリック・トレードのことを書いているので、いうまでもなくミニサイズの先物であることをご承知おき願いたい。とくに断りもなく‘S&P’と書いたら、それはコントラクト・スペック的には‘ミニサイズのS&P’だと考えていただきたい。