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第9章 己を知る

ストップ置かない症候群

絶対の自信を持って入った相場であるが、動きが狭いレンジ内に終始している。とりあえず様子を見たいと思い、ストップ注文を置かずにいる。どうしようかと思ったまま、他のことで忙しくなり、気がつくとその日が終わってしまう。まあいいかと思っていると、その晩は海外で大きく相場が動いて、自分の持っている方向とは反対に行ってしまった。翌日の朝からに値段が飛んでしまい、昨日想定していたレンジを大きくはみ出してしまったため、そのまま様子を見ることにして、放っておく。ところがトレンドは変わらずに、気がつくと1000円以上も動いている。切るに切れないまま追加の資金を入れて、さらに長い時間の様子見ということになる。

ロングを作ったものの、ストップの置き場を考えている間もなく、その直後からすぐに下がってしまい、そのまま損切ったのでは単に膨大な実現損が出てしまうし、まあ1000円下がった時点で、また追加資金を投入すればいいやと覚悟を決めて、悔しさのあまりしばらくは忘れることにする。

これらの行動は、アクティブにやろうとしていたものが、いつの間にか自己正当化のためにパッシブに変質していることの典型である。自分の持っているポジションがアゲインストに行ったからといって、損切りしないで相場が戻ってくるまで待っているというでは、そもそも時間の無駄である。

シコリが解消するまでは次の手が打てない以上、目の前でわかりやすい相場が展開されていても、指をくわえて見ていないといけないわけで、実に機会収益を犠牲にしてしまっている。もちろん覚悟を決めて自分で納得していることであれば、後悔はしないとはいえ、客観的にみれば大きくリスクを高めていることになることだけは理解しておこう。