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第9章 己を知る

指値注文

日経先物は主に局地戦での戦いとなる。つまり相場とのにらめっこである。市場のオープン前に考えていたことなどは、5分も経過すれば吹っ飛んでしまうこともよくある。ロングにすべきかショートにすべきかは、進行中の相場が教えてくれるようなものだ。結局、自分がロングで儲かるのか、ショートで儲かるのかは、一日が終わってみないとわからない。相場の流れについていくしかないのである。

そうしたなかでは、ポジションを作るにしてもクローズするにしても、注文を指値で出すのはいかにも分が悪い。指値注文(リミットオーダー)は、誰かが売ってこないと自分は買えないわけだし、誰かが買ってこないと自分は売れないのである。流れについていくつもりが、流れに逆らったことをしていることになる。市場の多くの人がやっていることと、反対のことを自分はやることになるのだ。

人間は万能ではないのだから、相場の端っこを当てることなど出来はしない。よって「このあたりで売ろう」などと下手に指値注文を入れることなく、自分が相場を見ながら、流れが反転の兆しを示すまで何もしない。値動きが反転しないまでも微妙な変化を見せだしたら、成り行きで敢行である。

たしかに新規にしろ、決済にしろ、ポジションの変更をともなう場合の注文は、成り行き注文でなければならないだろう。それを戒めている書籍の類も多い。目先の10円や20円にこだわっていてはいけない。そんなものは他人にくれてやれという意気込みが必要だ。