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第7章 他の市場参加者
SQ波乱
たしかにSQ値算出の前後では市場は不安定な動きをする。株式市場での出来高もその日だけは急増するのだから、それなりに買い玉や売り玉も相当な数だけ出てくるのであろう。しかし、本来は先物もオプションも、売りと買いは同じ値段で一対ずつあるはずで、相場の水準に関係なくニュートラルなはずである。同じ株価指数のSQ算出でも米国のそれは、さほど波乱要因にはならない。もちろんSQ値の算出日までの間に、始末しないといけないポジション整理のために必要な売買は出てくるだろうが、日本のように算出と同時に波乱が起こるというのは、いかにも滑稽な感じがする。
これは日経先物の草創期に原因があるように思う。当時のSQ算出は引け値の平均値で計算された。個々の株式はそれぞれの引け値を毎日持っているのだから、算術的に平均することは可能である。しかし、その引け値なるもので大量の株数が裁けるのかとなると、実際は違う。
前述のとおり、寄り付きと違い、引けにおいては売りたいと思っても売れない可能性があるのだ。残った玉は証券会社の自己ポジションとして翌日に持ち越されることになり、最終投資家ではないのだから必然的にカバーさせられる宿命にある。そうした制度上の不備がSQによる波乱を招いたのであろう。
SQ算出が個々の株式の寄り付きの値段の平均にすると変更された現在に至っても、そうした恐怖感は拭い去れていない。過去の記憶が生々しいのであろう。それが月に一度のSQをより大きなものに見せ、相場に臨む者も不用意に足をすくわれないように行動を強いられるのだ。
疑心が暗鬼を生んでいるとは思ってみても、全参加者がそれに縛られて行動する以上、それまで我慢を重ねてきたであろう日経先物のポジションも、それを契機に整理が進むことになる。いまだにSQをイベントのように考えているのが市場のスタンスである限り、自分のポジショニングもそれに沿った戦略を構築しないといけない。