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第7章 他の市場参加者

アナリスト

アナリスト・エコノミスト・経済評論家は何のためにいるのか。彼らののコメントを受けて、すぐに大きく株価が反応するという経験はほとんどない。アナリストやエコノミストの見方が中長期に立っているからであり、日経先物の取引のような目先の30円や50円の動きのほうが大切であるプレーヤーにとっては何の役にも立たないのが実情だ。彼らのいう損切りポイントはかなり遠いので、日経先物をやる分には何の参考にもなりえない。

特に注意を要するのは、評論家によくあるタイプなのだが、過去の値段の解説に多くの時間を割き、それをもって現在の価格の正当性を主張するものだ。相場に取り組んでいる人たちは、現在の価格と将来の価格を争っているわけであり、いかにエレガントに解説が施されたにせよ、無用の長物となるだけだ。

ITバブル華やかかりし頃は、人気アナリストのレポートは評判を博した時期があり、また、それに基づいて株式市場が上昇したようにも見えもしたが、もともとから市場にはおのずから上昇圧力が備わっていたのだろう。彼らが指摘しなくても相場は上昇したはずで、価格を追っていくだけならば彼らのコメントは必要ではないという結論に達する。その証拠に、後になって冷静に見直すと、そうしたレポートの半分以上が相場をはずしているのに気づく。たとえ著名なアナリストであっても盲従する必要性はないのだ。

ただ、いろいろな反省材料は与えてくれる。調子に乗って、毎日ムシャムシャと買い進んでいるが、本当にこれでよいのか。いずれ行き過ぎの調整があるとしたら、どのようなタイミングで、どのような深さなのか。また、もっと長い目で見ざるをえない中長期の投資家の気にしているポイントはどこか、などなど、自分の見落としているかもしれない部分の補足に役立てたい。

目の前の相場を追いかけていると「木を見て森を見ず」になりがちだ。市場の声に耳を傾ける謙虚さも必要なので、時間の許す限り、アナリストの意見などもインターネットなどで知っておこう。

とにかく市場に参加する以上、他の参加者が重要だとしているタイミングやポイントは、常に念頭に置いて行動しよう。後になって「ああ、こういうことだったのか」と嘆いてみても始まらないのである。自分が信じる、信じないは二の次である。他の参加者がどう見ているか、何を気にしているかを想像することも、マーケットが美人投票である以上、必要なことである。