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第2章 外国為替取引の種類と値動き

主要な通貨とは何か E主な市場とその特徴

外国為替市場の取引量は一日だけで200兆円を越えます。直物(=スポット)がその約3分の1で、残りはスワップや先物などで取引されています。市場自体は、日付変更線に近く一番最初に開くシドニーに始まり、東京、香港、シンガポール、フランクフルト、ロンドン、ニューヨークと24時間流れて行きます。どこでも誰でも行えるのが外国為替市場の特徴ですから、あくまでもこれは東京市場という取引所が存在しているわけではなく、各地の銀行が多く商いしている時間帯でそのまま繋がっていくというイメージです。

商い量でみるとロンドン市場が全体の4割弱、ニューヨーク市場が2割強、東京市場が1割となります。各市場の特徴を見てみましょう。

<ロンドン市場>
基軸通貨が米ドルに変わっても、外国為替の取引量はロンドン市場が不動の地位にあります。これには伝統的に銀行をはじめとする金融業務の中心地であったという歴史だけでなく、海外の金融機関にも自由な活動の場を与える政策を取って来たこと、地理的にアジア・中東地域とアメリカ大陸の中間に位置するという時間的な利便性など理由はさまざまでしょう。

ロンドン市場では世界各国の通貨が商いされており、ヘッジファンドによりアジア通貨売りが浴びせられた際(=アジア通貨危機)にも、アジア時間ではなくロンドン市場が主戦場でした。銀行などの金融機関だけでなくヘッジファンドなども多く拠点を設けているため、金融商品に伴う為替の取引が活発に行われています。

ですから為替の値段自体は、このロンドン市場が始まって、次のニューヨーク市場の午前場くらいまでが一番よく動く時間帯となっています。

<ニューヨーク市場>
ニューヨーク市場が始まるのは、ロンドン市場の後場になります。ロンドン市場の後場とニューヨーク市場の前場が重なっているこの時間帯が一番外国為替の取引も多い時間帯です。日本時間に直すと、夏時間で10時半、冬時間で11時半くらいからの3〜4時間です。この時間帯は一番取引量も多く、ドルの値段に影響を及ぼすアメリカの経済指標が発表される時間にも重なるため、アジア勢も含めてみなが参加します。ニューヨークも後場の引けになると極端に商いは少なくなります。

<東京市場>
日本は第二次大戦後、貿易を中心に経済大国となってきたためと思われますが、東京市場においての為替取引の特徴は顧客為替の比率が高いと言われています。顧客為替の中心は企業が行う為替取引です。現在の外国為替取引においては、実需に伴う為替取引の比率は減少の一途を辿っていますので、さらに様相も変わるでしょう。

東京時間に値段が大きく動くということはあまりないのですが、動いた場合などは特殊要因で動くことが多く、東京市場でしかつかないような端の値段になるということがよくあります。

1980年代後半に外為法の改正や取引慣行を国際化したことも手伝い、一時はニューヨーク市場を抜いて2位になると見られた事もありましたが、90年代に景気の低迷と共に主体であった顧客為替も低迷したことや、日本の税制や物価の高コスト構造、政府の介入が多いなど外国銀行がシンガポールや香港など他のアジア市場にアジアの拠点を移したことなどから、今ではシンガポール市場に迫られるようになって来ています。