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第2章 外国為替取引の種類と値動き
なぜ動くのか B投機と実需
毎日200兆円の資金が外国為替市場で動いているわけですが、この取引のうち実需によるものは全体の1割〜2割ほどとも、ほんの3〜5%ともと言われています。実需とは実際の輸出入に関わる資金決済や債券や株式などの売買のためにその通貨に変換するなど経済的な取引の裏付けがある取引になります。これに対して投機は実需以外で為替差益を目的に行う取引のことをいいます。
実需資金と投機資金では相場に与える影響も変わって来ます。実需資金の場合は、ある値段で売買された後、市場にその資金は戻って来ません。しかしながら投機資金の場合は、必ず最初の売買に対してそれをクローズするための売買を伴います。クローズするための売買は、その投機主体がどのような投資戦略を持っているかによっても期間は異なりますが、投機資金の大半は長くても2ヶ月くらいのもので通常は1〜3日以内にクローズされます。
1章で「投機」という言葉に対して、日本ではあまりいい印象を持たれていないと話ましたが、外国為替取引がもしも実需だけでしか成り立っていないとしたら、大変な事になってしまいます。例えば円とドルを考えてみましょう。
ある自動車メーカーがアメリカにたくさん自動車輸出したとします。購買者はアメリカ人ですから最終的には米ドルで販売されます。売上が年間仮に80億ドルだったします。製造に関わった従業員の給与をはじめ取引先企業には円で支払わなければなりませんが、8400億円相当の金額を、もしも決算に合わせるように年度末だけで円に換えたらどうなるでしょう。
実需でそれに相当する額のドルの買いが市場には半分しかなく、決算に合わせてドルが売られて安くなるのがわかっていればかなり下の安いところにしかbidの買いは入らないでしょう。このドル売りだけでドルの値段が一気に半分になってしまっても不思議ではありません。 実需を支える大量の投機資金が存在するので、値段は極端な乱高下を起こしたり、商い量がなくて決済できないというような事態を回避することができるのです。
いずれにしても投機資金と実需資金は性格が違うので、市場に与える影響も変わって来ますが、ほとんどがすぐに反対売買される投機資金であるということを前提に取引を行う必要があります。またこの投機資金に影響をおよぼすような情報をどう見ていくかが重要なポイントになります。