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第5章 ニュースで見るアプローチ

経済指標

経済指標は経済の状態をさまざまな角度から数値にして表わすものである。ほとんどは発表される日時が決まっていて、重要なものはカレンダーなどで予定をチェックできる。

経済指標には前回値、今回の予想値、実際の発表値の3種類があり、インターネットなどで、大手の証券会社やシンクタンクが事前に予想値を発表している。あらかじめ入手しておき、市場のコンセンサスはどのくらいのものかを頭に入れておく必要がある。公表されるまでは、相場は予想値を織り込みつつ価格が形成されていくわけだから、予想値と実際値の差が大きければ大きいほど、市場はサプライズということでダイナミックに動き出す。前回値より改善されているかどうかは市場ではまったく問題にならないことに注意しよう。

目の前で動く相場を相手にするには、発表された内容をいちいち精査する必要はないし、またその時間もないのが普通だろう。キチンと指標の意味を考えてからでないと相場に入れないというのでは、相場のほうが先に走ってしまい、手を出すことすらできなくなってしまう。

相場に向かうトレーダーとして覚えておかないといけないのは、何時に何が発表されるのかということぐらいであろう。あらかじめ、実際値がどのくらいの大きさであれば、相場はどちらにどのくらい振れそうなのかを頭の中でシナリオを描いておくことは大切だが、現実的には発表された数値を確認するヒマすらないかもしれない。相場だけが大きく動き出しているのなら、とりあえず目前で動いて方向に自分も乗っかるしか手はないだろう。

しかしファンダメンタルズの根幹を形成する経済指標をまったく無視するわけにはいかない。相場の変動が落ち着いたときにでも発表された中身を点検して、自分なりに答えを見出さないと、次に打つべき手が後手に回って、無駄な労力を費やすことにもなりかねない。エコノミストの解説を待っていては夕方になったり夜まで待ったりで、肝心の相場は終わってしまう。ファンダメンタルズは関係ないと思っていても、簡単な見方だけでも把握しておかないといけない。

経済指標は以下の5つに分類できる。
(A)雇用に関するもの
(B)経済活動に関するもの
(C)インフレ動向に関するもの
(D)国の収支に関するもの
(E)センチメント調査

経済指標には、日本銀行や各省庁などをはじめとする公的機関が統計をまとめて発表するものから、業界団体などによって発表されるものなど様々なものがある。日本の経済指標は、アメリカで発表される経済指標ほど世界的な注目度がなく、場合によっては素直に市場が反応しない場合なども多い。しかしその時々の流行によって注目視されている事柄が必ずあるので、それに関連する指標には絶えず注意を払っておくようにしよう。

とくに90年代から長期にわたって続いている低金利政策に変更の余地を与える経済指標は、今後の株式相場に重大な影響を与えるかもしれないのである。