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第5章 ニュースで見るアプローチ

経済活動

経済活動は生産と消費、そして流通に分けられる。それらをいちばん理解しやすい形で表現したものが「GDP統計」である。国全体の経済活動の規模を計るモノサシとして重要。おもな構成要素を見てみると、

GDP=個人消費(家計)+設備投資(企業)+政府支出(国家)+輸出入(外需)

となり、家計支出や法人企業統計、貿易収支などを元データとして積み上げたものである。先進国の場合は個人消費がGDPの6,7割を占める。経済全体のパイの大きさがどうなっているかを示すものと考えてよいだろう。

日本のGDPは総額で500兆円くらい、アメリカはそのほぼ2倍。これが4半期ごとに発表される。GDPは、前年比や前期比といった成長率を問題としているが、これは景気を測る主要なバロメーターなので株式市場に大きな影響を与える。発展途上国では年率で10%以上も成長するし、先進国などの成熟国家では1桁台の成長率を持続するだけでもたいへんなのが現状だ。

GDP統計は注目度が高いため、発表する以前に株式市場はそれを期待して先走ってしまう。よって日経先物で勝負する場合にも、近づいてくるGDPの発表を看過することはできない。市場の事前予想がいくらなのかを絶えず気にしていないといけなくなる。

GDPは積み上げの数字なので、構成要素のひとつでも訂正されるたびにGDP本体も改訂されることになり、最終的なGDPの数値が確定するまでは2ヶ月強を要する。とくに日本の場合は法人企業統計から設備投資のサイズを決定するが、法人企業統計の発表がGDPの発表よりも後になるため、GDPが発表される時点では設備投資に関しては推測ということになり、改定の余地があることになる。したがって、日本の場合は法人企業統計がGDPを正確に見定めるためにも必要以上に重要なものとなっている。米国の場合には貿易収支の発表が遅れる。

生産面だけからいえば、「鉱工業生産」、「設備稼働率」などの指標も重要となる。そのほか、企業の「在庫状況」、「住宅販売」といった指標もある。日本ではここ最近、「機械受注」の指標がクローズアップされてきている。注目度が高くなっている背景には、中国の経済成長に支えられてオールドエコノミーといわれていた産業である造船、機械、製鉄などが復権してきたからであろう。

機械受注はかなり大きなブレのある指標なので、エコノミスト泣かせと言われている。予想を出してもまったく当たらないのだ。その分、日経先物も大いに動くようになったので注意を怠ってはならない。日本時間の午後2時の場中に発表されるため、一気にマーケットの雰囲気が変わってしまうこともよくある。また全国の「小売売上高」は消費動向をみていくうえで欠かせない。なんといってもGDPのかなりのウエイトを占めるのは消費であり、消費者マインドを確認するうえでも見逃せない。