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第5章 ニュースで見るアプローチ

政治問題

日本は公共投資で経済を引っ張るということが行なわれてきたうえ、公共投資のありようと政治は切っても切れない関係にあること、増税、減税は直接GDPの大きな部分を占める消費に影響を及ぼすこともあり、政治の動向は大きく株価を動かすこと要因となる。またさまざまな経済・財政政策が政府によって決まるため、国勢選挙の結果や閣僚人事、予算案の作成、税制などにも株式市場は注目する。

選挙との関係でいうと、株価は政治の不安定を嫌うので、政権与党に対する支持率低下は株価下落要因になる。内閣不信案が可決しそうな場合や選挙結果で窮地に陥るような予測が出ている場合には、政治的空白を嫌う外国人からも見放される結果になる。逆に小泉自民党が圧勝した後の動きでもわかるように、政治的安定は買い材料となる。

また外国人持ち株比率などからもわかるように、日本の株式市場には海外からの投資家の比重が増える一方である。それゆえ直接に日本と関係ないと思っている国際問題や地政学的リスクには、嫌がおうにも注目が集まってしまう。過去の歴史的な株価急落などは国際情勢が絡んでいることもよくあった。

特に今後、日本の場合は、北朝鮮、台湾との対外関係は解決されるべき問題として残され続けており、とくに中国との関係は「政寒経熱」などといわれ、歴史認識ギャップや靖国参拝問題、大規模な反日デモなどで、両国の関係がこれまでになくギクシャクしている。

しかし中国経済の規模が大きくなり、日本経済との結びつきが強まっているので軽視できなくなってきている。新聞やテレビでの報道を通じて、日本人が、または外国人投資家がそれらをどのように感じ取っているのかを、認識する洞察力が必要となる。

アメリカは人権尊重を高らかにうたった資本主義の中心国家だが、欠点がないわけではない。格差や差別、国際紛争やテロがあの国のネックとなっている。9.11テロのときは株式市場そのものが2週間以上も停止させられてしまった。国際問題と経済は不可分の関係にあり、突き詰めると軍事問題にまで発展する可能性を秘めている。よって国際マターの紛糾は、株式市場にとってマイナスの材料を与えることになる。