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第5章 ニュースで見るアプローチ
金融政策
各国の中央銀行は金融政策を通じて自国の通貨の金利をコントロールし、景気やインフレに配慮する。金融政策の変更、すなわち金利水準の変更は、中央銀行の最高意志決定機関で決定される。日本の場合は日本銀行の金融政策決定会合がそれにあたり、米国では公開市場委員会(=FOMC)、欧州では欧州中央銀行理事会が相当する。よって金融政策の行方に決定権をもつ委員や理事の、日頃の言動や講演会などでのスピーチの内容が注目されることになる。金利の変更は即、株式市場に影響を与えないではすまないからだ
昨今の日本では金融政策の行方について騒がしくなってきている。民間部門の不良債権の処理にはメドがついてきたが、公的部門の債務は増大するばかりだ。このことは財政面から金融政策をしばる可能性を意味している。日銀総裁の発言と呼応して、政治家や政府高官からコメントが出てくるのはそのあらわれで、こうした金利動向の綱引きのバランスが株式市場には微妙に作用してくるので、政策金利に関する発言には注意しておく必要がある。
アメリカではだいたい月に一回の割合でFOMCが開かれる。FOMCへの信頼度は絶大なため、市場の寄せる関心は大きい。1987年より5期にわたってアメリカの連邦準備銀行(=FRB)の議長を務めたグリーンスパン氏は、市場を混乱させない名手だった。仮に彼の発した意見が市場に誤解されて、自分の思惑とは違った方向に相場が動き出しても、その方向修正に必要なマイルド感あふれる彼のコメントは絶品だった。
アメリカの金融政策のありようは、アメリカの株式市場を左右する。それが回りまわって日経先物にも影響を及ぼすので、よその国のことだといって軽視してはいられない。ほとんど毎日のように理事の一人がどこかで講演をしているので、日経先物のオープン前にも内容くらいは要チェックである。
欧州の金融政策理事会は、2週間に一度、木曜日に開かれる。1999年のユーロの通貨統合が行われるまではドイツの中央銀行であったブンデスバンクが圧倒的に欧州の経済の進むべき道をリードしていたのだが、統合後は政策決定までの過程が各国で経済事情が異なるため統一感に欠ける。イギリスやスウェーデンの不参加も大きい。人類の壮大な実験としては価値があるが、やはり政治や軍事の問題もふくめて統合を図らないとうまくワークしないのかもしれない。