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第4章 価格で見たアプローチ
JGB先物
債券というのは長期間にわたる借金の証文のようなもので、発行する主体によって国債、地方債、社債などとよぶ。このうち日本国債のことをJGBといい、先物が東京証券取引所に上場されていてJGB先物という。ドイツやアメリカと違って日本の場合は、国債の現物証券による取引が極めて少ない。常にアクティブに価格形成をされているのは国債先物だけである。エンドユーザーである顧客が何がしらの債券をほしがった場合、こうした先物価格から逆算して、現物の債券のフェアバリューを割り出し、価格を提示するという仕組みになっている。先物というのは本来、原資産の派生商品(=デリバティブ)であったはずなのに、いつのまにかその利便性のためか、地位が逆転してしまっている好例である。
通常、日経先物とJGB先物とでは、反対向きに動くという逆相関の関係にある。単純に考えると、確定利回りの商品を取るか、値動きは荒いがうまみのあるリスクを取るかの選択になるわけである。または元本保証有りか、元本保証無しかという選択であるともいえる。市場がどちらに興味を持っているかのバロメーターになる。たとえば、足元の経済が不安定で先行きも不透明な場合は、元本割れのない利付債券が買われる。その反対に株式相場の上昇が見込める場合は、低い利回りの債券にはもう誰も目を向けなくなる。決められたお金の枠をどちらに振り向けるのかを考えると当然であろう。
超短期の動きを見ても、この構図あまり変わらない。株価指数先物などが価格を上げている局面では債券先物は値段を切り下げる。こうしたミリの戦いにおいても同様なのである。株式市場はブレが大きいので、上がり始めると「どこまでいくの」といいたくなるくらいに上昇波動に弾みがついてしまうものだが、JGB先物の価格の下げ止まり、もしくは上昇に転じたならば、調子に乗って日経先物を買い進むのは得策ではないことになる。株価だけを見ていても気づかないことを他の市場で判断するという良い例である。