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第4章 価格で見たアプローチ

市場の話題

各々の市場で季節要因とでもいうべきか、決まって需給が話題にのぼることがある。株式市場では3月、9月末の配当取りや、各月末の投資信託の新規設定、年度初めにおける機関投資家などの新規資金のアロケーションなどが買いの材料にされる。また10月には外資系ファンドの決算時期であるからというので売り材料とされているようだ。外為市場でも同様であって、12月は米国企業の本国への利益還流ということで円売り・ドル買い、逆に3月末では日本企業の米国からの利益還流というので円買い・ドル売りが起こるとされている。

しかし、その多くは相場が実際にその方向に動いたときの、事後的説明としてしか使われていないようだ。配当がもらえる年度末の最終取引日に日経平均株価が上がっていたら、夕方の経済ニュースでは「配当取りの動きが活発化して・・」などというだろうが、反対に下落していようものなら実際に配当取りの動きはあったにしても何も言わなくなってしまう。

この傾向は板のない市場である外国為替市場では特に顕著である。毎年の2月、5月、8月、11月の15日は米国債の利息の支払いが予定されている。日本は官民あわせて大量の米国債を保有しているので、その日がくると円買い・ドル売りの需給材料とされてしまうが、円相場が円高の方向に向かっているときはいいのだが、円安に振れようものなら誰も何も言わなくなってしまう。米ドルでの利息は厳然として支払われているのにである。需給をネタにする怪しさを感じないではいられない。

要は、日経先物をはじめ相場で勝負する際には、需給要因は頭に入れておかねばならないのは事実だが、目先の値動きのほうが大切だということだ。月末だからといって、自分が、または会社が損失を出してまでお化粧買いなどは誰も仕掛けないのだ。たまたまお化粧買いに見えることがあっても、それは相場が上がってきたからチョウチンがついただけのことであって、月末であることとは関係がない。日経平均株価の過去10年間の月末応答日の多くが陰線で終わっているのは、妙な需給話についていくなという警鐘ではないだろうか。