HOME > 外国為替について > 第5章 情報収集の仕方 > 情報の種類 A各国の金融政策に関わるニュース

第5章 情報収集の仕方

情報の種類 A各国の金融政策に関わるニュース

(1)中央銀行が行う金融政策会合

まず、(1)の中央銀行が行う金融政策会合は、その政策会議の開催日時が事前にわかっているため、市場はそれに向けて価格を織り込んでいきます。金融政策のための会合は各国でおこなわれていますが、なかでも為替市場で注目を集めるのは、基軸通貨国である米国の連邦準備銀行(FRB)で行われるFOMCでしょう。

FOMCの決定事項は重要ですが、すでに発表されてきた経済指標や直近の株価動向などから、それまでにある程度まで相場に織り込まれてきていることが多いので、FOMC後に発表される声明文のほうが相場を動かすことが多いようです。委員の見解はどうか、当局は今後の経済動向をどう見据えているのかを、そこから読み取ろうとするのです。

ほとんどすべての通貨はドルを介して行われるため、ドルとの相対比較になるわけですから、米国の金融政策を見ないで外国為替は語れないということになります。FOMCがドルの政策金利の引き上げを決定したら、素直にドルの買いで反応してよいでしょう。しかし、すこし遅れて発表される声明文で、金利引き上げの打ち止め感が表現されていたり、インフレについて楽観的な文言が含まれている場合は、以降の金利引き上げは遠のいたと見て、即座にドル売りです。その際には、声明文の中身を解説してくれるアナリスト等が役に立ちます。

FOMC議長の議会証言も行われます。内容はFOMC声明分とは隔たったものであるはずがないのですが、市場はそこから何がしらのサプライズを汲み取ろうと躍起になりますので、知らない顔をしているわけにはいきません。現在のFRB議長はレーガン政権の時代の87年に任命されたグリーンスパン議長です。

90年代の金融政策を上手く取り仕切ってきたという評価から、米国人は彼を神様扱いしている面があり、彼の発言内容には常に注目が集まっています。金融政策の目標をマネーサプライからフェデラルファンドレートの誘導に変えたのも彼ですし、政策金利の変更をFOMC開催日に絞ることにしたのも彼の功績でしょう。また、グリーンスパンは市場をミスリードするような発言を極力慎むようにしており、市場の方が勝手に先走りそうになったらそれをやわらかく訂正するのが上手だったというマイルドさが、信奉者の多い由縁なのでしょう。したがってマーケットのほうも彼の言葉には一目も二目も置いているというのが実情です。

FOMC声明や議会証言とならんで政策会議の委員による講演内容も、ときとして市場に大きなインパクトを与えます。これも事前に予定されていることなので、時間やアジェンダについては前もって調べておいて相場に臨む必要があります。

なお、日本でも金融政策会合は開かれていますが、歴史が浅く、世界の注目を浴びるにはいたっていません。