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第5章 情報収集の仕方

情報の種類 F相場の解説記事

相場の解説記事などは、新聞やニュースでもよくみかけるものです。解説にあたっては、ファンダメンタルな要素によって解説してあるもの、チャートなどのテクニカルな要素を使って解説してあるものなどさまざまです。

ファンダメンタルに基づいた解説の場合には、@で上げた指標について経済を取り巻く諸条件がどのように変化したかという観点から、今の値段についての解説を試みようとしています。またテクニカル分析に基づいた解説は、過去の為替レートの値動きの集積からさまざまな斬り口で現在の値段についての答えと近い将来の展望を用意しようと努めています。解説はすでに起こった事について分析を加えているため、説得力を持った内容になっている場合が多いように思われます。

しかし反面、これらは過去に起こった事に事後的に解説をしているものなので、それを明日以降どう使えるかという事については明確な答えを出してくれません。特に相場の取引で利益を得ようとしている人にとっては、過去の値段と今の値段の比較には意味がなく、今の値段と将来の値段の比較検討の方が大事であることは言うまでもありません。

例えばファンダメンタル分析に基づいて解説してある場合、その分析の元になっているのは@の経済統計やAの方向性などですが、その要素を現時点の価格にどれだけ反映されているのかについては、大概の場合明らかに言及されていませんし、それを客観的に測ることもできません。また、テクニカル分析による解説では、ファンダメンタル分析に基づくものよりもさらに、過去の経験則でその動きのパターンによって将来を予測しているタイプなどが多いように思います。しかし毎回きれいに過去のパターンが当てはまるわけではありません。もちろん重要な目安にはなりますが、占いと同じで、この星の動きの時に、この星の下に生まれた人はこうなるとあっても、それぞれ他の後天的な要素が加われば同じよう結果にはならないものなのです。

では、そうした解説記事がまったくに無用であるかというと、そうではありません。ファンダメンタルズは経済活動の底流を形成するものなので、相場においては長めのトレンドを形成することになります。毎日、ドルをショートにして儲かり続けていても、「米国の貿易赤字が縮小傾向にある」などと解説記事に目にする機会が多くなってきたら、心のどこかに「もうそろそろ」と思いながら取引きに臨む心構えが必要となってきます。またファンダメンタルズの変化によって起こった相場は、並大抵のことではゆるがない相場展開を形づくることも多いのです。

テクニカルもいろいろなものがありますし、そのすべてを勉強する必要などはありませんが、大まかであっても前日の高値・安値くらいは調べて記憶しておきましょう。自分の興味のある相場だけでも結構です。高値や安値を超えるときには、何らかの大きな力が働いているわけで、それを教えてくれるのはレンジがブレークしたときなのです。

また相場ではいちばん関心の高いレベルであり、レンジの端っこに到達したときが最大の買い圧力と売り圧力を集めます。慣れてくれば、チャートを日々つけて研究してみるのも面白いでしょう。

しかし自分ひとりで出来ることには限界がありますので、補強する意味でも、無駄だと思わずに日頃から多くの解説記事に目を通すように習慣づけしたいものです。かなりの労力が省けますし、他の市場参加者はどう見ているのかを考える上でも役に立ちますし、ひいては自分なりの目を養っていく上でのいい肥やしとなると思います。