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第8章 マーケットに臨む姿勢
過去の値段
評論家の解説によくあるのだが、相場を語っているように見えて実は何も語っていないような場合がよく見受けられる。彼らは過去の値段と現在の値段を比較してモノをしゃべったり解説したりしている。「ダブルトップを形成したから相場は落ちたのだ」などと言うともっともらしいが、過去の値段の記録として出来上がったものを見ているに過ぎない。
では相場に入っていくことを旨とするトレーダーはどうであろう。彼らは過去の値段は参考にはするが、利益の源泉は現在の価格と将来の価格の差であることを生業(ナリワイ)としている。過去と現在の比較は意味を成さないし、そこからはお金は得られない。
ダブルトップを形成したからといって、相場の買い圧力が強すぎて、値段も上がり基調にあるのならば、とても売り向かっていけないし、彼らの損益が相場の値段によって決定されるという事実の前にはダブルトップであろうが、トリプルトップであろうが関係ないのである。値段が下がり始め、テクニカルポイントを超えてきたのを確認してから、ようやく順張りの行動を起こせるのである。
後講釈は基本的に役に立たない。目の前の値段の動きだけを重視しよう。値動きだけが自分を守ってくれるものであり、自分の現在の行動を正当化できる。過去の値段にこだわりすぎると相場に入っていきづらくなる。
これは知らず知らずのうちに過去の値段と現在の値段を比べてしまっているのだ。さっきまで14930円がついていたのだから、そこで売り注文を出しておけば売れるだろうという錯覚を起こしているのだ。過去の値段と今を比較してもお金を産まない。せっかくいいアイデアやストラテジーを描いたとしても、ポジションが出来なければ絵に描いた餅になってしまう。過去の値段は関係なく、あくまでも現在と将来の値段を比較するように心がけよう。
「やはり抵抗線で相場は止められた」とか「抵抗線を抜いてきたから上がったのだ」という説明は、結果がどうあろうと絶対に外れることのない論理の遊びである。投資家にとっての問題は、相場が抵抗線の間際まで上がってきているときに、抜けるのか頭打ちになるのかをポジションで体現することができるかどうかなのだ。テクニカル分析では、抜けるかどうかは予見できない。出来ることとといえば、抵抗線の内側で売ってみる。上に抜けたら買い戻す。場合によってはロングになるまで倍返すことだけなのだ。