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第8章 マーケットに臨む姿勢

ポートフォリオ

デイトレードとは反対に長期のポジションとはいかなるものであろうか。単純に考えても、日経先物でいう100円や200円の変動幅を相手にしているポジションでなく、1000円や2000円、もしくはそれ以上を期待しているポジションのことをいい、ポジションというよりはポートフォリオと呼ばれる。

短期のポジションはロングになったりショートになったりめまぐるしく、むしろ何も持っていない状態のほうが時間的に長く、次の相場の入りどころを模索していることが多い。それに対してポートフォリオというのは「入れ物」という意味であり、必ず何かを持っていなければならないことが多い。仮に保有している有価証券などを売ってしまって現金に換えたところで、次の瞬間には別のものを買い直さなければいけないように運命づけられている。よって利益が出ているからといって簡単に利食うことは事実上できず、それに変わるもっと値上がりの見込めるものが現れたとき以外は売れないのである。よってポートフォリオに何を組み込むかは長期ポジションを作り上げるに際して非常に重要となり、いったん組成したとなると長期保有の名のもと、パッシブ運用にならざるをえない。

では、短期のポジションと長期のポートフォリオは無関係かというと、決してそうではない。今日の相場に適正に対処できない人が、明日の相場や1年後の相場を語る資格があるだろうか。狙っている値幅こそ大きな違いがあるにしても、やっていることの本質は同じであり、有限な資金である以上、損切りをしなくてもよいということはありえない。本来ポートフォリオであるといっても値段の上がらないものや価格が半分になってしまって動かないものはどんどん入れ替えていかないといけない。入れ替えをするということは損切りをするということであり、全体のパフォーマンスの向上のためにはやむをえない。ポートフォリオをマネージするためには、やはり日計りのトレーディングの同様の素養は不可欠ということになる。

相場に影響を与える度合いという意味では、圧倒的に長期のポートフォリオの動向が重要である。基本的に短期のポジションは売ろうが買おうが、最終的にはスクエアの状態に回帰するはずのものであり、相場全体にとってはいついかなるときでもニュートラルである。相場が加速して走り出す際の火付け役くらいの役割は演じることが出来るが、相場のトレンドを変えたりすることは出来ない。それに反してポートフォリオの影響は大きい。ポートフォリオが動くときは、相場の後追いになることが多いが、大きなロットでの売り切り、買い切りが出てくる。こういう時は「ポートフォリオの構築」や「ポートフォリオの崩し」の局面であり、絶好のチャンスである。デイトレードでついていくのだ。そのくらい破壊力がポートフォリオにはある。