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第2章 市場のルール

オープニング

前述のとおり、日経平均株価というのは場が開いた直後は、実際の個別株の取引が1株も行われていない状態であっても、気配値でもって無理やりに平均値を算出している。よって、構成銘柄の株式すべてが寄り付くまでは、日経平均株価イコール日経先物の価格にはならないのである。夜中に大きすぎる材料が出たときなどは、翌日の東京株式市場のオープニングは、ほとんどの個別株において寄り付きに時間がかかる。ひどい時では1時間ほどたっても寄り付かないケースもある。それでも日経先物は早々に寄り付き、何らかのレートで取り引きされている場合が多い。画面で現れる日経平均株価と日経先物の値段が100円とか200円もかけ離れていたりする。個別株のほうでほぼすべての銘柄が寄り付けば、すなわち買いたい人は存分に買うことが出来て、売りたい人は思う存分に売れる状態になったところで、ようやく両者は一致するのである。

「先物が主導する」とよく言われるが、日経先物が上がったから現物の株式市場がツラレて上がったと考えるのは早計だと思う。たしかに大きく上がってスタートするときなどは、日経先物だけがかなりの勢いでとても高いレートで取り引きされていて、画面で出てくる日経平均株価はぜんぜん上がりきっていないのだから、そのように見える。現物の株式でまだ寄り付いていない気配値では当てにならないわけで、気配値よりはみ出た部分を補うようにして先物価格は値付けされていると見るべきであろう。またザラ場中であっても、一つの値がさ株がストップ高まで到達して買い気配になってしまったとしても、その株自体の値段はわからないが、日経先物が取り引きされている限り逆算が可能だという立場がとれる。個別株は値段が付かないだけで本当の取引水準はもっと別のところにあり、それらの平均値である日経先物の価格に沿うようにプライシングされるはずだと解釈するのである。

要するに、日経先物のほうが本物なのである。日経先物の取引からは、実際に損益が出てきてお金の動きが発生するのである。日経先物の値段が飛んでオープンしたりすると、そんなものは空中戦だといってナメてかかる連中も多いが、日経平均株価の始値などは、意味のない数字であると思って身構えておいたほうが無難である。